日本伝統的妖怪文学への継承と超越――京極夏彦論文献综述

 2022-07-29 11:07

日本伝統的妖怪文学への継承と超越

――京極夏彦論　

要旨：日本伝統的妖怪文学、簡単に言えば、日本古代の怪異な現象やコト及びそれを起こすモノを一層ロジック的、システム的に書いた作品であり、怪談とも言われる。この十数年間、京極夏彦の作品は異彩を放っており、前述した二種類の分野と違う新たな領域を開拓した。よく知られているように、彼の作品は常に「妖怪推理小説」というレッテルが貼られている。つまり、単純な「妖怪文学」ではなく、ピュアな「推理小説」でもなく、換言すれば、彼の作品を単一の分野に帰属させることができないことである。

キーワード：日本伝統的妖怪文学；京極夏彦 ；多分野 ；伝承と超越

  1. 文献综述

昔の人は自然や社会の法則に対する認識が不十分で、科学的な知識も足りないため、このような妖怪文学を作ったと思われる。しかしながら、科学技術が発展してきた現在こそ、科学で解決できない問題が出た時、一層自分の「こころ」に頼り、想像力の極限を発揮し、不思議な力または「モノ」がこの世に訪れるのではないかと疑っている人が多くなってくる。その上、日本では、本、雑誌、アニメやドラマまたは映画、ドキュメンタリーなどのマスメデイアでは、「霊異事件」「妖怪現象」といったニュースが増えており、迷信を信じてはいけないとは知っているが、ややもすれば「妖怪」の面影が心の中に浮かび上がるのである。そのため、「妖怪」の恐怖力と不思議が一層謎になっている。また、時代の発展につれて、「妖怪」という概念も昔の日本の山野深林に住んでいる化け物とは異なるようになってきた。社会的・心理的要素が深刻になり、「妖怪」に関する研究も盛んになっている。

　本稿は文学層面から「妖怪」から生まれた文学とその文学への伝承と超越を分析することが目的で、以下は、日本「妖怪」の起源、特徴、当時人間社会に与える影響と「妖怪」に関する文学・芸術の二つの方面から、本論文の参考した先行研究を説明する。そのあと、本論文の中心点、京極夏彦の作品への先行研究も分析する。ここで、「妖怪」という言葉は不要な誤解を起こさないように、一般的に思われる妖怪と怪異な現象を指し、以下は、かぎかっこを省略する。

　第一は、妖怪のことである。董強は『趣いっぱいの日本妖怪文化』で、日本の妖怪は中国から来たものがあると書いている。妖怪文化は現在から一万年前の縄文時代に辿ることができる。縄文人は狩り・採集・漁業など原始生活で暮らしており、野獣からの襲いや危機が潜んでいる山林荒野などに対し、恐れと畏敬でモノゴトの物語を口承の方式で伝承されていき、生き生きしている妖怪のイメージが生まれたと描かれる。そして千年前の平安時代は、『源氏物語』の六条御息所の嫉妬と怒りから化けした幽霊如きイメージもその時代の妖怪文化を象徴している。その時の日本はかねてから（七世紀ごろ）中国との国交で、漢字・漢詩文・中国古典文学などを渡ってきており、日本元来の文明と結びついて独特な新たな文明を融和して創り出した。統計によると、日本の70％の妖怪のモデルは中国からで、20％はインド仏教文化から、日本本場妖怪はわずか10％であることが董の文章で分かった。

　では、日本の本場妖怪はどのような妖怪であろう。一つは、水・山など自然の中に住んでいるもの。雪女、牛鬼、小豆洗いなどがある。そして江戸時代になると、商業や手工業の発達に連れて、人たちの物質的生活が豊かになる一方、不要になる道具や部品を勝手に捨てるになってしまう。それたの捨てた物から化けしたモノノ怪がもう一つの種類の妖怪である。こういった現象によって、浪費や汚染など人間の作業がもとで生まれた妖怪は、ある程度社会と人間を批判的、主知的に描くことができる。つまり、昔の単純な人の恐れと畏敬から具像化した妖怪とは社会的層面でレベルアップしたといえよう。従って、この種類の妖怪もまた、世間における深刻な問題を掲示することもできる。栗文清『都市辺縁の精霊―宮崎駿の妖怪世界』によると、科学技術高度発展の現代社会では、人間は自分の住居地は拡大しつつ、山川を埋め尽くして高層ビルを建てて、動植物の休む所も少なくっていく一方、自然大地を占拠する神々と妖怪たちはどこに行ったのだろう。これはつまり題名のように妖怪たちは都市の辺縁で生きるために戦っているのである。妖怪の層面から、人間は自我への反省が必要であることが明らかにした。

　第二は、「妖怪」に関する文学・芸術についての先行研究を説明する。土佐光信が「百鬼夜行絵巻」を、鳥山石燕が「画図百鬼夜行」シリーズを刊行して以来、日本では、井上円了が「妖怪学」の創立によって「妖怪」への研究を先駆し、後を受け継いだのは柳田国男、江馬務のような民俗学者である。井上が「不思議研究会」を組織し、本物の妖怪と人間の恐怖・憎悪・誤解などから生じる概念的妖怪を細分して、「妖怪学講義」などを発表したが、彼の本来の目的は迷信打破、「偽物妖怪」を人の心の中から消除することにあるが、かえってあらゆる妖怪に対する人々の興味を喚起したのが事実である。それに対し、現代の「妖怪博士」と呼ばれる水木茂は「ゲゲゲの鬼太郎」という漫画シリーズを作成することでよく知られる。そのほか、小松和彦ら（小松和彦、常光徹、山田奨治、中山和久ら）は「怪異・妖怪伝承データベース」を作成し、厖大かつ豊富な妖怪に関するデータを世間に見せている。これらの文学・芸術は古来からの口承されてきた妖怪に関する文明を記しており、また画像化や具体化し、歴然としたシステムになるといえよう。が、これもある程度人たちの妖怪に対する想像を制限するきらいもあるが、文明保存と継承の角度から見ると、創造性あるの作業である。

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